いやな患者

医者が「嫌な患者」とかいうと、「仕事なんだから」とかなんとか言う人がたまにいるんですが、人間としてドウダロウという患者さんは、やっぱりこちらも人間としていやなものです。その中には「病気が人をこうさせる」と思えなくもない、つまり、我慢できるものもあるし、本当に普通に「性格が悪い」だけの患者も稀に。

今まであんまりそういう方と関わって来なかったんですが(学生は遠ざけられてたのかも?)、先日一人お見かけいたしました。

他科が救急外来をしている時、救急車で到着。元々心臓と肺と腎臓が悪くて、今日は呼吸困難で来たらしい。入院加療が必要ということで入院手続きをして、その後私たちのいる科にコンサルテーションを掛けてきたのです。たまたま当直だった私も今までのカルテを見ました。
どうやらその患者さんは、病院で待たされるのが嫌なので毎回救急車で来院するそう。入院が必要だと言ってもヤダヤダで殆ど帰ってしまい、漸く入院させても翌日には「帰る」と。
何度か念書(「入院が必要だと言われましたけどこっちの都合で帰ります」という内容だと思われる)付きで自主退院した形跡も。安静指示を破って勝手に動き回ったとも。
あっちゃこっちゃの病院でバラバラと薬を貰って、今自分が何をどれだけ飲んでいるかもわからない状態。
そしてなんとここ4日間位は毎日救急車で救急外来受診し、対症療法で自覚症状が消失すると「入院が必要」と言われても「モウカエル!」で帰ってしまっていたみたいです。そしてまた翌日……みたいな。
うーん、どうやらすごい我侭放題みたい。
上の先生と一緒に患者さんの元へ。エコーを取る数分間の間にも酸素吸いながら
患「お腹空いたよー。おにぎりかなんか買ってきてよー」
医「申し訳ないけどもう売店やってないんですよ」
患「じゃーこの検査終わったらもう退院させてよ」
医「私はそれは決められないんですよね(←コンサルト依頼で来ただけであって主治医でも何でもない)」
患「じゃーあっちの先生に先生から退院していいって言ってよ」
医「それは私はできません(半ギレ)」
って感じであっという間に医者を不愉快にさせました。
そして「明日うちの科に転科依頼とか来ちゃうかなー」と心配になりながら病室を出たのでした。きませんでしたけど。
あまりにも治す気がない患者を見るとなんだか悲しくなります。

あとは、治療を受けない患者さんでしょうか。この患者は態度が横柄だから本当にムカついたけど、受診しといて薬を出すと「副作用が」とか言い出して治療を拒否する患者さん、薬を飲まない患者さんも、実はちょっとイラつきます。何のために病院にきたんだか。医者が診察しただけでは何も治らないのに。
でも、こういう患者さんの気持ちは、実は私もよくわかるんです。"副作用"という言葉を必要以上に恐れ、"主作用"を無視してしまう感じ。なんだかインフォームドコンセントってのも難しいなぁ……。まぁ少なくとも飲みたくないなら飲みたくないと、飲んでいないなら飲んでいないとはっきり言ってほしい。薬を飲んでいないのを隠されると、効いていないのかと思ってその後の治療や診断自体にも関わってくるから。