着床前診断@大谷産婦人科

大谷産婦人科

神戸市灘区の大谷産婦人科 不妊センターで、日本産婦人科学会に無申請で生殖前診断をしていた、とのこと。よくもまぁ、て感じです。
この大谷徹郎医師、不妊治療を専門とされていて、技術的にも優れた医師なのだと推察します。
今回のこの問題は、多くの医療関係者のようにほんの少しでも「生殖医療の問題点」なり「医療の倫理」なりを学んだ事がある人にとっては大変な問題で、大谷医師の取った行動は非常に軽率に感じるでしょう。
と同時に、遺伝性疾患が原因で子作りに悩むカップルは「この先生のところに行けばよかった」「なんでダメなの?」と思うのではないでしょうか。
現に着床前診断が行われている国もあります。「どちらが正しい」とかではなく。しかし日本では客観的な立場からそれを事前に検討する、と決められているのです。そうしたら、今後の生殖補助医療を円滑に発展させていくためにもそのルールに従うべき、と言うだけの話です。
「治療法のない重大な遺伝病」の着床前診断は申請によって認められるわけです。今は筋ジストロフィー(筋肉がどんどんダメになっていって、生殖年齢頃には死亡します)について審査中だそうで。
では「軽い遺伝病」は不幸せ?子供が可哀想、そんな医療費出せません。不幸せ。
では今女の子が4人いる。跡取りに男の子が絶対に必要だけどこれ以上子供を増やすわけにはいかない。次に女の子は不幸せ?生まれても嬉しくもない。不幸せ。
子供が女の子で一重まぶただったらどうしよう。女の子はカワイイ方が幸せに決まってる。二重の方がカワイイに決まってる。一重まぶたの女の子は二重まぶたの女の子に比べて不幸せ。


本当に?


実際、子供が一重まぶただったらかわいそう、と考えるバカが世の中にはいるのです。赤ちゃんの顔を見ながら「可哀想に」と思って何とか二重になる方法はないものかと考える親がいるのです。子供が可哀想で、涙を流す親がいるのです。信じられないけれども。
その家が金持ちだったら、着床前診断をして一重の女の子の受精卵を捨ててしまってよいでしょうか。

人間は、欲望を抑える力を持っていません。だから集団で審議しなければいけないのです。少なくともその「ルール」さえも守れない医師に、命の選別を適切に行える裁量はないのではないでしょうか。